SAPPORO CITY JAZZ THEATER JAZZ LIVE 2019

都市型ジャズフェスティバルとして2007年度より始まった国内最大規模のジャズフェスティバル「SAPPORO CITY JAZZ」。国内外のアーティストが出演し、札幌市内各所で多数のジャズイベントを開催します。

2018年からは、同年10月に札幌市中央区にオープンした「札幌文化芸術劇場hitaru」も会場の一つとして仲間入りし、ワインやビール、食事を味わいながら贅沢な空間でジャズを楽しむ「SAPPORO CITY JAZZ THEATER JAZZ LIVE」がスタートしました。

この度弊社では、昨年に続き音響システムプランニング、オペレーションを担当いたしました。

 

「d&b Soundscape」の導入

右より、ケイズサウンド株式会社 代表取締役 風上哲也、チーフオペレーターの阿部充志。

 

今回新たに「SAPPORO CITY JAZZ THEATER JAZZ LIVE」に導入したのが、「d&b Soundscape」です。

昨年の同ライブの音響システムは従来のステレオLR(ステージの左右にスピーカーを配置)システムを導入していました。

TheaterJazz Liveの会場は客席の幅が約30mと横に広く、また、構造上多くの吸音材が使用されているため、極端に響きが抑えられており、通常の音楽ホールより多くの機械的残響を付加することに。一般的にジャズライブでは自然なホールの響きが好まれますが、この機械的残響の付加によって不自然な音場になってしまい、それが音楽的違和感を生むことになってしまいました。

風上:
「ステレオLRシステムの場合は音量バランスの調整によって楽器の遠近など距離感を再現しますが、予てからこのステレオLRシステムの技術的な限界を感じていました。特に横幅の広い会場でのコンサート等は、視覚と聴覚が一致しない違和感が大きく発生します。本来の音響エンジニアの意図した、良い音を聴くことができるのは、客席中央付近以外に座っているオーディエンスだけです。端に座っているオーディエンスに対しては極端なパンニング処理が出来ず、その結果、ほぼモノラルミキシングになってしまっていました。これは大規模な会場になるとよくある現象ではありますが、他の席のゲストも同じチケット代を支払っているのに、一部の人しか本来の正しい音を楽しむことができないというのは、私たちにとって納得のいかない結果であり、やりたいことを表現しきれていないという思いが常にありました。」

そこで、今回新たに導入したのが「d&b Soundscape」。

メインスピーカーは通常のステレオLRシステムと異なり、基本としてステージ上に5列のスピーカーを配置します。

 

また、客席エリアを囲むようにスピーカーを360度配置。

会場を囲むように計23台のスピーカーを設置している。

 

「d&b Soundscape」は、システムの司令塔のような役割を持つ「DS100 Signal Engine」と、2つのアプリケーションソフトウェア「音源ポジショニング技術(En-Scene)」と「残響付加技術(En-Space)」で構成されています。

どの場所からステージを見てもステージ上に存在する音源の方向から音が聴こえる「音源ポジショニング技術(En-Scene)」と、残響の少ない会場でも響きを豊かに変更できる「残響付加技術(En-Space)」を使うことで、今までのコンサートての標準的なLR方式では表現が出来なかった、理想的な音響空間を簡単に作り上げる事が可能になりました。

64×64のマトリックスを持つ、「音源ポジショニング技術(En-Scene)」と「残響付加技術(En-Space)」のためのシングルプロセッサー「DS100 Signal Engine」。

 

風上:
「近年、ラインアレースピーカーやデジタル卓等の音響機材の進化により、ライブサウンドの音はより制御され効率よく伝達可能になりました。しかしその反面、厚みや奥行き感のない、平坦で薄っぺらな音に感じることが多く、弊社ではそれを解決する方法を模索していました。また、同時にライブエンターテインメントの更なる付加価値向上に音響業界にどんなことが可能かも考えていました。

そんなときにd&bのデモルームでSoundscapeをはじめて体験。このシステムを利用することで私たちが目指していた音を作り上げ、すべてのオーディエンスに理想的な音を提供することができるのでは?とイメージが湧きました。

音楽にとって大切な音をよりよくするためには、全セクションの協力があって初めて実現します。この新たなd&b Soundscape導入の提案を受け入れていただいた会場、そしてこのシステムを作り上げたd&b audiotechnikの協力のもと、札幌という街をあげての新たなチャレンジが叶ったのだと思います。これからも理想の音を求め、札幌から世界基準のものを発信していきたいですね。」

「d&b Soundscape seminar inSAPPORO」の開催

「SAPPORO CITY JAZZ THEATER JAZZ LIVE 2019」の開催を前に、より多くの方々にd&b Soundscapeシステムを体験していただきたいという思いから、音響エンジニアや政策・映像関連業界など関係者向けに同会場にてセミナーを開催しました。

d&b audiotechnikと弊社スタッフ。

 

セミナー前半では本番用の機材を使用してシステムの基本的な説明を行い、後半は実際のオペレーションを体験するという内容。

実際にオペレーションを通して、会場のどこにいても、あたかもステージ上に存在する音源の方向から音が聞こえ、さらには方向だけではなく音源の遠近感までもが再現できるということを体験していただきました。

オペレーション時には、多くの方が会場内を歩き回ることで、どこにいても音源の視覚的位置と聴覚的位置が一致するということを体感。

 

セミナー後には今回チーフオペレーターを務める弊社の阿部のもとへ、多くの方がシステムについて質問を投げる場面も。多くの方にこの世界基準の新システムを体験し、興味を持っていただく貴重な機会となりました。

オペレーションを通して

今回チーフオペレーターを務めたのは、弊社サウンドデザイン部の阿部充志。

阿部:
「従来のステレオLRシステムでは音をミキシングしますが、このシステムではそうではなく“音を配置する”というイメージですね」

 

阿部:
「d&b Soundscapeは2018年2月のリリース以降、海外や東京などで行われたライブコンサートやステージなどで導入されていますが、北海道では今回が初めての試みです。まずは北海道の多くの音響エンジニアやイベンターにこのシステムを実際に体験して理解していただき、さまざまなアプリケーションで採用されると、音の可能性が広がっていくと思います。」

 

これからも私たちは、最高のエンターテインメントを作り上げるために、札幌から世界基準のものを発信し続けていきます。

第69回 勝毎花火大会 フォトギャラリー(2019年8月撮影)

第69回 勝毎花火大会  音響


十勝毎日新聞社が主催する帯広の夏の風物詩「勝毎花火大会」。毎年約20万人を超える来場者で賑わう知名度・内容共に北海道を代表する花火大会です。
花火・音楽・照明・レーザー・特効が同期した打ち上げでエンターテイメント性の高い演出が最大の特徴です。
弊社では、2004年から音響を担当させて頂いております。
2019年のフォトギャラリーをご覧ください。

大会オフィシャルカメラ 客席中央より撮影
全長1000mに及ぶ観覧エリアにスピーカーを配置 雨の中d&b V8をユニックで設置する久保田(画像手前)
有料席エリアより撮影
客最後尾より撮影 画像中央に小さく見えるスピーカー 距離は約60m
メインコンソールのMidas Pro2とバックアップのPro1
全ての音源がセットされたAbleton Live オリジナル音源をリマスタリング  ハイレゾ音源を使用
アナウンサー用のRolnad M48をチェックする久保田(画像手前)
アナウンサーブースに設置されたCLEARSONIC A5-7 メインスピーカーからの回り込みを大幅にカット
ミキサーセットアップ中の郡司(画像中央)と風上(画像右)
リハーサル中の品田(画像中央)
総勢14名のスタッフで恒例の記念撮影

イベント・フェス フォトギャラリー

過去のイベント・フェスなどの音響


ケイズサウンドが関わった大小様々な規模のイベント・フェスのフォトギャラリーです

帯広市 音楽フェス
帯広市 音楽フェス
三吉神社例大祭
コンサートホールKitara ジャズコンサート
札幌市内ホテル 海外インセンティブパーティー
札幌コンベンションセンター大ホール 海外インセンティブパーティー 音響・照明・映像・制作
きたまえ札幌☆マンガ・アニメフェスティバル
札幌市教育文化会館 コンサート
PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌)
札幌市内 夏祭り
札幌市内 国際会議
札幌シティージャズ

現場レポート 無観客ライブ YOUTUBE配信

2020.4.19 現場リポート


無観客ライブ 収録 Youtube配信の音響・楽器・照明・映像編集を担当しました

 

新型コロナウィルスの影響で現場が激減しているエンターテイメント業界ですが、先日行われたYoutube配信収録の現場をリポートします。
無観客でライブを行いその模様を3台のカメラで収録、YAMAHA CL3を使用しライブ感たっぷりに録音したサウンドを収録映像とエディットするまでの作業になります。


搬入〜仕込み開始

久しぶりの現場にテンションも息もあがってます…
仕込み開始です。

モニターチューニング中の渡邊
照明吊り込み中の小林

 


3台のカメラとYamaha CL3 Nuendo liveで収録

Nuendo Liveでライブレコーディング
センター固定カメラ

3台のカメラを使ってライブ感のある映像を収録します。

 


編集作業

ライブ終了後、録音した音源と映像を使いエディット作業に入ります。

画像編集ソフト DavinciResolve16で各クリップをエディット
Youtube用にレンダリングを行い作業完了

 


作業を終えて

新型コロナウィルスの影響はエンターテイメント業界に大きな転機をもたらしました。全く先が見えなこの状況をどのようにとらえ、前に進んでいくかをアーティストと共に考え行動した結果のYoutube収録配信ライブとなりました。今後エンターテイメント業界がどのような方向に進んでいくかはわかりませんが、ケイズサウンドでは出来る事も模索し、新たな分野にも挑戦していきます。今回の現場を通し、演奏家やステージに関わる全て方たちと共に手を取り合い、この事態を乗り越えて行きたいと強く思う現場になりました。ご協力頂いた皆様に感謝を申し上げます。

サッポロシティージャズ ノースジャムセッション

サッポロシティージャズ ノースジャムセッション


「札幌がジャズの街になる」をテーマに2007年に始まったジャズの祭典
弊社は2008年よりメイン会場の音響や同イベントのメインイベントと言えるノースジャムセッションの音響を担当させて頂いています。2019年のフォトギャラリーをご覧ください。

 

d&b V8をフライングする安藤(中央)と阿部(手前)
リギングを確認する安藤
リップフィル d&b E8 / インフィル&アウトフィル d&b Ci90
ドラムライザーを移動するPAスタッフ
楽器テクニシャンとして参加の水戸
チーフオペレーターの阿部
システム管理を行った安藤(手前)

研修・視察 フォトギャラリー

海外研修・展示会視察


ケイズサウンドでは国内外の展示会への参加・ライブハウスやコンサートホールの視察、世界一流のエンターテイメントを体験する事を目的とした研修を広く行っています。最新の機材や世界の一流を体感し、日々の業務のフィードバックをしています。

NAMM Show ナムショー 楽器と音響の国際見本市 Anaheim Convention Center
世界三大ジャズ・フェスティバルのひとつ「 モントルー・ジャズ・フェスティバル」
Maze Featuring Frankie Beverrla / Nokia Theatre L.A. Live / LAの大御所ソウルグループ
The Iridium / New Yorkの老舗ジャズライブハウス
Madison Square Garden / New York / 今は無きPrinceの貴重なライブ
Musikmesse / ドイツのフランクフルトで行われる欧州最大の展示会 /弊社が輸入代理店を務まるクリアソニック社の展示ブース前で撮影
Musikmesse / 台湾のライティングメーカー Aiweidy社のブース前で撮影
Entec Sound and Light / London Northolt / 水戸がかつて在籍したロンドンの老舗PAカンパニーEntec社のスタッフと記念撮影
世界3大オーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地 ベルリン・フィルハーモニ
シルク・ドゥ・ソレイユ / Michael Jackson ONE / マンダレイベイホテル
House of Blues ゴスペルブランチ / マンダレイベイホテル
New Orleans Jazz & Heritage Festival / アメリカ ルイジアナ州ニューオーリンズで毎年5月に開催される歴史あるジャズフェス
ニューオーリンズの香辛料店で爆買いの郡司と気さくな店員

札幌ミュージック&ダンス・放送専門学校様との取り組み

2020年5月 ケイズサウンド倉庫にて


弊社久保田がPAエンジニアコースの非常勤講師としてお世話になっています札幌ミュージック&ダンス・放送専門学校様(札幌放送芸術&ミュージック・ダンス専門学校より2021年4月校名変更予定) / 以下SSM札幌様)の体験入学に向けた動画撮影を弊社倉庫にて行いました。その模様をリポート致します。

撮影にあたって

昨今の新型コロナウィルスの影響で学生さんを学校に招いた体験入学や授業が実施できない状況が続いています。
そこで、SSM札幌様のご依頼により、弊社倉庫にて体験入学に参加される生徒様向けの動画を撮影する運びになりました。
撮影のテーマとして、学校や現場ではみられない音響会社の倉庫から情報を発信し、舞台裏の仕事を少しでも感じ取っていただけるような構成になりました。

弊社倉庫にてスピーカースタンドについて説明する久保田(奥)/ SSM札幌教員の島田様(手前)
倉庫内を案内する久保田(奥)
簡易音響をセッティングし音出しをする様子を撮影
『学生が在学中に学ぶべき事』をテーマにインタビューに応じる風上

一通りの説明・収録後には『学生が在学中に学ぶべき事』をテーマに弊社代表 風上がインタビューにお答えしました。

撮影を終えて

音響業界はもちろん、エンターテイメント業界全体が人手不足に頭を悩ませています。働き方や価値観が多様化する現代において、優秀な人材は待っていてもやって来ない事はもはや常識となっています。企業と学校が協力し、優秀な人材を育てあげる環境がもっとできれば、今後の音響業界にも希望が見えてくるのではないか、そう考えています。
教育の重要性をあらためて感じる良い機会を頂きました。
記事投稿にあたり快諾していただいた札幌ミュージック&ダンス・放送専門学校様にこの場をお借りしてお礼申し上げます。