小樽の人気観光スポット「小樽運河」からほど近くに位置する「アンワインド ホテル&バー 小樽」。
北海道で初の外国人専用ホテルとして1931年に建築された「旧越中屋ホテル」を現在的感性で再生し、2019年4月にオープンしました。
この度弊社では、エントランス、バー、レストラン、そして事務所の音響・照明等の導入・施工を担当いたしました。
今回施工を担当したのは、ケイズサウンド株式会社の品田康貴。
品田:
今回はオーダーを頂いた時点ですでにラフプランが出来上がっていました。
しかし、不明確な事やプランの曖昧さがあり、情報の整理を行うとともに、ホテル・レストラン音響としてオペレーションがしやすく、かつ利用者が求め、必要とする機能を盛り込んだプランに再構築しご提案しました。
今回お客様からオーダーいただいたのは“景観をくずさない”ということ。小樽市指定歴史建造物、そして、経産省『近代化産業遺産群33』にも指定された歴史的建造物の情緒や建築的美観を活かした世界観に溶け込むよう、スピーカーの色を天井に合わせるなど、主張しすぎない色や大きさのものを選びました。
また、普段のオペレーションはホテルスタッフが行うため、専門的知識がなくても簡単に使え、オペレーショントラブルが起きにくい機器の選定や初期設定にも工夫をしています。
エントランスをくぐると、右手にフロント、左手にバー「BAR Ignis」と、開放感のある1階には用途の異なる空間が配されています。
品田:
スピーカーの設置にあたっては、クラシカルな景観を崩さないことを大切にしながらも、無駄のない配置で均一に聴こえるようにデザインしました。
品田:
当初のプランにはありませんでしたが、スピーカーの音量をエリアごとに分けることをご提案させていただきました。
エントランスやフロント、バーのある1階は空間に仕切りがないため、エリアごとに音量を分けることで場に合った音を提供できます。
フロントにはお客様とスタッフが会話しやすいように音を小さくひかえめに、バーでは雰囲気に合わせて音量を大きく音楽的な音質に設定。
品田:
バーでは天井をすっきりとした印象にしたいとのご要望をいただき、シーリング型ではなく壁面に設置できるポイントソース型のスピーカーを選びました。
広い指向性とフラットな特性をもつControl23-1は十分なエリアカバーと良質な音でバーという非日常の空間にマッチする音を提供しています。
品田:
エリアごとに音量を変えるという提案について、ホテル側からは『そのような発想はなかった』とお喜びいただき、採用していただきました。
品田:
廊下は天井に高低差があるため、すべての廊下のスピーカーを同じ音量にしてしまうと、天井が低いところではスピーカーとの距離が近い為うるさく感じてしまいます。
スピーカーの位置によって音量を変更できるようにするとともに、必要な音量を確保できる最小のスピーカーを選びました。
YAMAHA NS-IC400は直径わずか10cm、重さ800gと非常に小型ですが、心地の良いBGMが提供できます。
1階のBGMは事務所にあるミキサーとパワーアンプで一括管理が可能。
レストランとリンクして使用する事も出来るため、レストラン婚礼やイベント時の演出効果を高めることができます。
品田 :
エントランスやバーの音量はエリア毎に操作できるので、婚礼やイベントでレストランから大きな音を出す際も演出の妨げになる事がありません。
また、事務所のモニタースピーカーでレストランの様子が音声として確認出来る為、サービスのタイミングや演出的ないわゆる“きっかけ”も逃す事なく対応できます。
1階にあるレストラン「THE BALL」。
ディナーのほか、宴会の貸切利用や婚礼などさまざまなイベントで利用できます。
品田:
レストランのデザイン性のある照明の配置を考慮して、スピーカーを天井の左右にそれぞれ3台ずつ配置しています。
イベントなどで大きな音を出せるように余裕のあるサイズ感です。
スピーカーは天井の色に合わせてペイントし、目立たないようにしています。
イベントや婚礼時は天井のスピーカーだけでは音量が足りない場合があるので、ポータブルスピーカーRCF E-VOXJ8を2台ご提案させていただきました。
このスピーカーはだれでも簡単に移動と設置が出来る上、非常に高音質です。
レストランの暖炉側の左右の壁面に専用接続端子があり、配線できる仕様になっています。
レストランから持ち出して別の場所での使用、屋外イベント等にも活用できます。
品田:
プロジェクターは至近距離から投射できるよう、超単焦点レンズを使用。
レストランには美しいステンドグラスがあり、外光がふんだんに入りこむ為、高輝度・高解像度のプロジェクターが採用されました。
プロジェクターの両サイドには婚礼やイベント時に演出照明が出来るようにスポットライトを設置しています。
このスポットライトは取り外し出来るようになっており、レストラン営業の際に景観を損ねる事がないように配慮しています。
講演会やセミナーを想定し、暖炉側の左右の壁面にはマイクや持ち込みPCを接続できる回線を配置する事をご提案しました。
品田:
レストランの音響や映像のコントロールは、レストラン内に設置したシステムラックにまとめて収納した機器で行います。
普段はホテルのスタッフが操作するため、使いやすいレイアウト・システム構成にしています。
また、専門知識がなくても快適に操作出来るようフェーダーやボリュームにはラベリングをしています。
操作方法・設定がわからなくなった場合はボタン一つで再起動をかけられるように、カスタムデザインをしています。
レストラン内に設置してあるシステムラックはお客様の邪魔にならないよう可動式になっており、レストラン出口横の壁に配置した接続盤に接続して使用する事ができます。
接続盤と接続ケーブルにはラベリングがしてあり簡単に移動・設置が出来ます。
品田:
クラシカルな景観に溶け込みながらも、無駄のない配置とデザインのスピーカーをご提案させていただきました。
場所によって音量を変えたり、移動式のシステムラックやスピーカーを設置したりすることで、婚礼などのイベントにも柔軟に対応可能になっています。
通常営業時にホテルスタッフがストレスなく使用できる事もこのような案件ではとても大切な事と考えています。
<お客様のご感想>
「ホテル開業に向けて品田さんに相談させて頂いた当初は、
CATEGORY